秀光通信4

『広告の読み方』
秀光通信も四回目となりました。前回で意外なほどに食いついてきたのは、某塾のことでした。ウーン、どうやら皆さん、裏話というのが好きなようで…。いやいや、私も結構好きなのですが、あまりそういうことばかりを書いても仕方ないので、今回は塾の出すちらしや広告の何を見るべきなのかを話してみたいと思います。

最近急激に生徒数を増やし、実績の伸びを毎春グラフで強調する、前回の某塾とはまた別の塾を例にとって話しましょう。「普通の生徒を早慶へ」というあの塾です。私も長年この業界に身を置いていますが、早慶レベルは普通の子(学校の成績でオール3ぐらい)ではなかなか入れるものではありません。もちろん、あれだけの教室数にあれだけの生徒数ですから、中には普通の学力で早慶に入った子もいるでしょうが、ごくまれなはず。さらに「普通」とは何をもって「普通」なのか、随分あいまいな表現です。大体、わが子は自分にとって特別な存在だとしても、よほどの自信家でない限り、結局は普通の子ということになるのではないでしょうか。オール3も普通なら、オール5でも考え方によっては普通でしょう。いや、もっとひどい成績でも能力的には普通のはずです。

所詮は広告、そう冷静に考える親御さんなら結構。しかしそうでない親御さん、つまりは普通の子を持つ大多数の親御さんににとってはなんと心地好い誘い文句でしょう。でももうお分かりですね。「普通の子を早慶へ」とは結局「誰でも取りあえずは早慶を目指しましょう」という楽観的希望を無責任に述べているだけのことです。あるいは、塾側にしてみれば「皆で早慶を目指そうという努力目標なんだ」ということかもしれません。それを勘違いして「ここに行けばうちの子も早慶だ」と親御さんが思ったとしたら、それは勘違いしたほうの問題ということになります。広告とはこういうものなのです。

一体、広告で読むべきは何か。用意するものはルーペと合格者名がずらりと並んだ春のちらしです。さあ、ルーペ片手に、お子さんが通っている中学だけをチェックしてみて下さい。どのような結果が出ていますか。目黒十中の場合、通っている人数に比べてちらしに載る生徒はかなり少なめです。つまりはちらしに載るようなレベルの学校に受かるのは、やはり一握りの生徒にすぎないということです。この塾に限らず大手塾の場合、圧倒的な数を武器に一見華々しい成果を上げているように見せていますが、実態は以上のとおりです。それでも、この例に挙げた塾などはまだ良心的なほうだと言えるかもしれません。上に示したようなやり方で、こちらがその気になりさえすれば、その実態が多少なりとも窺えるからです。塾によっては、実績の水増し、合格者の名義借りなど、特に中学入試、大学入試の分野では、思った以上に実体の無い実績がまかり通っているのです。

一番確実な情報の入手方法とは、自ら問題意識をもって塾に足を運ぶことです。何だ、そんなことか、と思わないで下さい。大手だけが伸びてゆくこの状況は、膨大な広告や営業による勧誘、その結果、深く考えることなく、大手ならなんとなく安心、ということで選んでしまう親御さんがいかに多いかということなのです。自分の目で見、自分の頭で考え、自分で選ぶことを知っている親御さんの子供なら、きっと「普通の子」以上の輝きを放ってくれるでしょう。